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【源氏物語巻名の花】 巻46 『椎本』 椎の木 

               ★… 【源氏物語巻名の花】 巻‐46 『椎本』 椎の木 …★
☆物語は匂宮も宇治への通い人となり、複雑な展開となっていきます。
◆文中)立ち寄らむ 蔭と頼みし 椎が本 むなしき床に なりにけるかな。
◇意)立ち寄るべき陰と頼りにしていた椎の本はお席もむなしく跡をとどめているだけで、空しい床になりました。我が師と頼りにしていた八の宮を失ったことで、薫は道心も失ってしまうのです。
巻名の「椎本」は、この歌によります。
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現在、宇治橋東詰め近くに「彼方神社」があり、境内に椎の大木があるようです。「宇治十帖」の碑の一つ「椎本之古墳」があるようですが・・・。昨年は日も暮れて訪ねることが出来ませんでした。
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〓椎〓
ブナ科の常緑高木。高さ25メートル、径1.5メートルに達する。樹皮は黒褐色。小枝は細かく分かれ、半球状の樹冠をつくる。5月下旬、雄花、雌花ともに穂状花序となり、クリの花に似た強い臭気がある。虫媒花。秋には実を結ぶ。堅果(ドングリ)の見分け方がいまいち勉強不足ですが、長さ約1㌢のものをツブラジイ(コジイ)とのこと。大木のシイの根元に落ちていました可愛いドングリです。
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若木の内から樹皮が割れ始め、堅果は大きく狭卵形、長さ約1.5㌢のものを変種スダジイ(イタジイ)食べられるようです。
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材は建築・器具に、樹皮は染料に用いる。また、椎茸栽培の原木とする。
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〓【簡単に物語】〓
物語は、宇治川を一つ隔てて、対岸と此岸(しがん)、栄枯の二人の宮が相対する構図になっています。匂宮は薫から宇治の姫君の話を聞き、長谷観音に参詣を思い立ち、その帰途、宇治の八の宮の姫君たちと接触できるかも知れないという期待をもって宇治の八の宮邸の対岸にある夕霧の別荘に中宿りをするのです。
宇治の中宿りの宿舎は、匂宮の外祖父にあたる光源氏の所領を嫡男の夕霧大臣が伝領し、知行している所の別荘を提供したと語られています。

現在の宇治平等院のあたりとされていますが、これは光源氏のモデルと言われている源融(みなもとの・とおる)が、この地に別邸を営んだという史実からのことです。
したがって、「憂し」の山里に住まう八の宮は、対岸の現在地、宇治神社のあたりに山荘を構えていたということになります。
↓写真の赤い朝霧橋の対岸と此岸。左対岸ー紅葉しているところが宇治神社、右ー宇治平等院方面。
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八の宮は、夕霧や子息達が匂宮一行を歓待する物音を川波を隔てて聞くにつけ昔の栄華をしのばずにはいられません。しかし、このところ健康がすぐれず、死期の近いことを予感して婚期もすぎた姫君たちの事を思いあぐねていました。
薫は中納言に昇進。ですが、出生の秘密を知ってからと言うものは、はかなく亡くなった実の父の罪ほろぼしの為と、ますます出家の意を強くして行きます。7月、久しぶりに宇治を訪れた薫に、待ち構えた八の宮は姫君たちの行末を託します。
死期を感じた八の宮は、姫君達に、宇治の地を捨て京に出て親の面目をつぶすような結婚などしてはならぬと諭します。親王としての自尊心でしょうか?人並みの結婚ならば、しないほうがまし、姫達にはあまりにも厳しい言葉です。そして、この父の遺訓が姫君の人生に大きく影を落とすことになるのです。

それにしても姫達の行末を託した薫への依頼は?結婚ではなく経済的援助、それとも精神的支えなのか? 23才の薫君に25才と23才の姫達の行末を託した八の宮。姉妹の後見を願うとは、どう考えても薫君は若すぎますね。意図が判りませんね。
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八の宮は、そのまま山寺にこもり8月20日ごろ不帰の客となります。悲嘆にくれる姫君達を薫は何かと心遣いをします。宇治への通い人となった匂宮からも弔問があり、忌が明けると同時に求愛の手紙が届いたりします。しかし、父宮の遺言を思い出にすがる姫君たちはどんな高貴な人の求愛にも応じようとしません。

年末のある雪の日。再び宇治を訪れた薫も胸中を大君に訴えますが、父の遺言を守り、取り合ってくれません。そんな大君に薫はますます心をひかれていきます。 一方、匂宮は、周囲から夕霧の娘六の宮との縁談を勧められますが、関心を示さず、宇治の姫君へ思いを燃やし、薫に姫君との間を仲介してほしいとせがみます。

翌年の夏、宇治を訪れた薫は、喪服姿の姉妹を垣間見て、とりわけ大君への思慕の情を一層強めます。この、姿を垣間見る場面で、「椎本」の巻は終わります。
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霧深き宇治の山荘を舞台に物語られる「宇治十帖」前半の登場人物が、すべて出揃いました。
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by hime-teru | 2009-03-15 19:26 | 源氏物語(巻41~巻50) | Trackback | Comments(0)