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【源氏物語巻名の花】  巻20 『 朝顔の巻 』   朝顔・あさがお

      ★… 【 源氏物語巻名の花 】  巻20 『 朝顔 の巻』  朝顔・あさがお  …★
                      撮影はH19,8月~我が家にて
この巻のヒロイン「朝顔の姫君」は、作中人物(桃園式部卿宮の姫君)の通称です。
光源氏のいとこにあたり、名前は源氏からアサガオの花を添えた和歌を贈られたという「帚木」や「朝顔」の逸話からきており、そこから「朝顔の姫君」「朝顔の斎院」「槿姫君」「槿斎院」などの呼び名がある。
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●なお、朝顔の巻の  【槿】
 のアップ済みも参照下さい。朝顔が、ムクゲ(槿)の古称でもあることから、まれに「槿(あさがお)」と表記されることがあります。「槿・ムクゲ]をアップしています。
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朝顔・あさがお
万葉時代に「朝顔」と呼ばれていたのは桔梗のことです。秋の七草に含まれているのもそのためのようです。現在の「朝顔」は平安時代に中国から輸入され今も根付いているのだそうです。ちなみに桔梗だけではなくムクゲの花も「槿」と書き「あさがお」と呼ばれていたようです。
朝顔の斎院」の場合、歌に朝顔が歌われ、平安時代に中国から輸入された事でもあり、現代の朝顔ではないかと思います。
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【簡単に物語】 …あらすじ
この巻は”朝顔姫君”の物語です。
斎院を退いた朝顔の姫君に光源氏は長年の恋心を訴えますが、慎み深い姫君は聞き入れません。源氏が若い頃から熱をあげていた女君の一人で、高貴な生まれゆえ正妻候補に幾度か名前が挙がり正妻格の紫の上の立場を脅かします。
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桃園式部卿宮の娘「朝顔の姫君」にかねてから思いをよせていた源氏は、再び彼女への慕情が燃え上がり、女五の宮の見舞いにかこつけて、桃園通いがはじまります。生来の癖とは言え藤壷を失った空虚な心がそうさせているのかも知れません。源氏びいきの女五の宮は源氏と朝顔の結婚を望んでいます。
姫君も源氏に好意を寄せているが、源氏の恋愛遍歴と彼と付き合った女君たち、特に六条御息所との実らぬ恋のやるせなさを見ているので妻になろうとまでは思わず、自分は源氏とはかかわりを持つまいと心に決め、源氏の愛を拒み続けます。
源氏とは終始プラトニックな関係を通すのです。朱雀帝時代に斎院を長く続けたたため婚期を逃し、そのまま独身を貫き通して出家、物語の表舞台から消えるヒロインです。
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朝顔の姫君は以前にも増してつつしみ深く、源氏はいたずらに思いをつのらせるのですが、姫君は、いまさら源氏の愛を受け入れる気等ありません。それは皇女としての誇りがあり、高貴な身の上ゆえに源氏に惹かれつつも終生源氏の求愛を拒み通すのです。(今も昔も、このような慎み深い女性は、男性から見れば魅力的なのかもしれません)
一方、紫の上は身分としては同じ皇族出なのですが、世間の名声は朝顔の姫にくらぶべくもないので源氏の愛だけが頼り、悩みと不安は次第に深まり物思いの日々が続きます。
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★※原文)枯れたる花どもの中に、朝顔のこれかれにはひまつはれて、あるかなきかに咲きて、匂ひもことに変はれるを、折らせたまひて たてまつれたまふ。
※意)枯れたいくつもの花の中に、朝顔があちこちにはいまつわって、あるかなきかに花をつけて、色艶も格別に変わっているのを、折らせなさって斎院へ贈りになる。
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★※原文) 見し折のつゆ忘られぬ朝顔の 花の盛りは過ぎやしぬらむ。 …… 源氏
※意 昔拝見したあなたがどうしても忘れられません。その朝顔の花は盛りを過ぎてしまったのでしょうか  
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☆※原文) 秋果てて霧の籬にむすぼほれ あるかなきかに移る朝顔。…… 朝顔の姫君
※意)秋は終わって霧の立ち込める垣根にしぼんで今にも枯れそうな朝顔の花のような、もの哀れな気持ちになっております私ですと姫君。
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源氏を拒みつづける朝顔の姫君の存在には、どこか藤壷の影が感じられます。朝顔の姫君のことばかりに気を取られていて・・・思い通りにゆかない(失恋)。夢に亡き藤壺中宮が現れ、その救われぬ苦しみに衝撃を受けた源氏は手厚く祈願する。源氏は亡き藤壷への追慕の情が心をゆるがせながら最後には紫の上を藤壷の面影を宿した理想の女として認識させられるのです。
Commented by nageire-fushe at 2007-09-07 21:04
朝顔綺麗ですね!
王朝文学での朝顔は、槿と同じく
か弱く、はかなげでは有るけれど
本当はその陰に強さを持ってる所が
素敵ですよね。
Commented by hime-teru at 2007-09-08 22:08
nageire-fushe さま。お立ち寄りありがとうございます。♪

仰るように、今風に言えば「朝顔の姫君」自分を飾らず、作らず、清清しく、自分の意思をマイペースで貫く佳人という意味で強さを感じますよね。

茶の湯では朝顔や槿は一日花ゆえに「一期一会」の趣を愛でるのにふさわしい花ですが、「朝顔の花一時」「槿花一朝の夢」「槿花一朝の栄」と一日でしぼむため、人の世の短い栄華を、はかない命にたとえられられます。咲いた花は手で触れると傷つきやすく繊細、反面、その花を咲かせる樹は強い生命力をもち、夏から秋にかけて、散っては咲き、咲いては散りと次々と長期間、花を咲かせ続けます。

夏の一日を命の限り咲きほこるところが、うちに秘めた強さを感じます。



Commented by hime-teru at 2016-04-01 22:13
鍵コメさま
コメントありがとう御座いました。
「私の理想とする写真」だそうで、恐縮で御座います。この写真は2007年に撮影した朝顔ですね。カメラは今はお蔵入りでミノルタαスイート、レンズを100ミリマクロを使用して撮影しました。今でも100ミリマクロは、私の一番のお気に入りレンズです。花の撮影にはピントとバックの色とボケに神経を使います。(参考になれば良いのですが・・・・?)
by hime-teru | 2007-09-06 22:22 | 源氏物語(巻11~巻20) | Trackback | Comments(3)