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【源氏物語文中の花】 巻35  『若菜下』  蓮・ ハス (その2)

         ★… 【 源氏物語文中の花 】  巻35 【 若菜下 】  蓮・ ハス (その2) …★
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【若菜下の巻】
[歌、2首 記載]
消えとまるほどやは経べきたまさかに はちすの露のかゝる許を ……   紫の上
意)はちすの露が消えずに残っている束の間ほども、これから生きられるでしょうか。

契りおかむ この世ならでもはちす葉に玉いる露の心へだつな  ……   源氏
意)約束しましょう。この世だけでなく、来世も蓮の葉に玉となっている露のように、心の隔てを持たぬように。
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( はす ) は夏の季語。同時に ” はちす ” と読ませて ”極楽の池にみられる「蓮」のこともさします。この2首は、”源氏物語”の一場面。病み伏している紫の上を光源氏が見舞った時に、前庭に涼しげに蓮が咲きわたり、露がきらきらと光っている様子を眺めながら二人が詠んだ歌です。
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紫の上が自分の生命を”蓮の花の露のようにはかない”と感じている一方で、源氏は蓮の葉の上にある玉(露の玉)のように、あの世での二人の契りを誓っている。紫の上の不安な気持ちをかき消すように源氏は紫の上を思う気持ちを伝える場面です。
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【文中】
池はいと涼しげにて、蓮の花の咲きわたれるに、葉はいと青やかにて、露きらきらと玉のやうに見えわたるを・・・
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【鈴虫の巻】
[歌2首、記載]
はちす葉をおなじうてなとちぎりおきて露のわかるる けふぞ悲しき  …源氏
☆へだてなく蓮の宿をちぎりても君がこころやすまじとすらむ  …女三宮
【文中】
夏ごろ、蓮の花の盛りに、入道の姫宮の御持仏どもあらはし給へる。閼伽の具は、例の、きはやかにちいさくて青き、白き、紫の蓮をとゝのへて・・・・・・・。
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この巻にはの花・の葉・ 壺の御方の桐・真木柱の姫君・・下紅葉木綿鬘・の葉・の花・花・青と植物が沢山で出て参りますが ←(すでにアップ済み)この巻では省略致します。
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〓 簡単に”若菜下”物語 〓
若菜上にて朱雀院は出家して愛娘・ 女三宮を光源氏に託します。新たに正妻を迎えることになった源氏は葛藤し紫上も苦しみます。この年、源氏は四十の賀を迎え、六条院では華麗な賀宴が繰り広げられます。傷心の紫上は気丈にふるまい、未熟な女三宮に失望した源氏は紫上の素晴らしさに愛情を新たにします。しかし二人の亀裂は深まるばかりなのでした。

一方、明石女御(=後の明石中宮)が男皇子を出産し、明石入道は長年の宿願がかなったことを告げる手紙を残し、山に入ります。明石の君と明石の尼君の悲しみの描写も一際感慨深く書かれています。

そして柏木の登場、蹴鞠の日、猫のいたずらで女三宮の姿をかいま見てしまい、激しく恋焦がれます…。夫婦生活を7年も続けていながら夫(源氏)の帰宅なのか?、別の男なのか?、顔を見るまでわからないような歯がゆくなるほどのお姫さま(女三宮)不用意に柏木に顔を見られてしまったり、柏木からの恋文を敷物の下につっこんでそのまま忘れて源氏に見つかってしまう。女三の宮は幼稚でおっとりした性格の持ち主なのです。ゆえに父の朱雀院にとっては、女三宮の行末が人一倍心配で源氏に託したのでしょう。

        ☆ しかし・・若菜下にて・・・女三宮は・・・~~!

柏木の恋慕は、例の猫を手に入れて愛玩するまでにたかぶり、女三宮に近づく機会を狙います。冷泉帝が譲位し、女三宮の兄・東宮(今上帝)が即位、明石中宮腹の皇子が東宮になり、光源氏一族は住吉神社に盛大に願果しの参詣をします。格式が高くなった女三宮に源氏の扱いも重みを増し、紫上は出家を望むようになります。六条院の女楽の夜、紫上は病に倒れ、危篤に陥りますが、かろうじて蘇生します。六条御息所の死霊のせいなのでした。柏木は源氏不在の六条院で女三宮と強引に契りを交わします。女三宮は懐妊し、柏木の恋文を発見した源氏は真相を知ってしまいます。罪におびえる柏木は、源氏の睨みと恨み言で病に臥してしまうのです。
by hime-teru | 2007-08-03 23:16 | 源氏物語(巻31~巻40) | Trackback | Comments(0)