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【46椎本・12須磨・49宿木・51浮舟】 〔萱草〕 かんぞう  忘れ草  

★… 【 源氏物語文中の花 】 巻46(椎本)・巻12(須磨)・巻49(宿木)・巻51(浮舟)  『萱草・かんぞう』 …★ 
             撮影はH18.7.22  目黒自然教育園にて  
【椎本の巻】 萱草
宇治を訪れた薫は喪服姿の姉妹を垣間見て、とりわけ大君への思慕の情を深める場面で、「濃き 鈍色の単衣に、萱草の袴もてはやしたる、なかなかさま変はりてはなやかなりと見ゆるは、着なしたまへる人からなめり。
意)濃い鈍色の単衣に、萱草の袴が引き立っていて、かえって様子が違って華やかであると見えるのは、着ていらっしゃる人のせいのようである。
★ヤブカンゾウ(薮萱草) 
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ユリ科の多年草。ワスレグサ(忘草)ともいう。花は八重咲きで大陸産のホンカンゾウの品種とされているが、その起源については不明の点も多い。根は先端部が紡錘状に肥厚する。葉は根生し左右二列に並び、長さ40~6㌢花茎は高さ0.7~1㍍数枚の小さな包葉があり茎頂は典型的な二又分枝を示し、黄褐色で赤色の斑紋がある花を数個つける。7~8月に開花するが結実はしない。
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《萱草色の服》萱草色(かんぞういろ)→赤みが少なく黄色みの強い橙色。
萱草は身につけると、憂い(うれい/悲しいこと)を忘れるということから「忘れ草(わすれぐさ)」「忘憂(ぼうゆう)」とも呼ばれます。
平安時代の宮廷では喪に服するときに、紅色の代わりに萱草色の服を着ました。
『源氏物語』にも喪中に着る服の色として登場します。喪中の服の色ということで「萱草色」は縁起の悪い色、凶色と扱われました。
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ヤブカンゾウ またの名前を忘れ草。毛詩に「能忘憂」とあるように、憂いを忘れる花だったようです。平安時代より人や物事を忘れる場合にも用いられました。花の写実描写というよりも、おまじないや伝説に心情を重ねて出てきます。
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この花がどうして忘れ草と呼ばれるようになったのでしょう。
◎忘れ草の花の美しさを見ていると憂いを忘れる」という中国の伝説からつけられたようです。
でも、ユリ科の山ユリや姫ユリなどと比べると悲しい思いを打ち消すほどの美しさには見えませんが・・・。
むしろ、橙赤色は妖艶に見えますね。
ちなみに、中国でいうカンゾウ(漢方のカンゾウとはべつのもの)は日本では自生せず、日本でカンゾウというと変種のヤブカンゾウかノカンゾウのことだそうです。
カンゾウとノカンゾウは、一重の花びらでニッコウキスゲのように凛としている美しいユリのようです。
【野萱草・ノカンゾウ】
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ユリ科の多年草。日本各地の野原や溝辺にみられる。地上部は毎年枯れるが地下茎は古い葉で包まれて残る。7~9月に高さ70㌢mあまりの花茎が直立し上部で二叉に分枝し総状に花をつける。6個の花被片は長さ7~8㌢で橙赤色、下部は3cm前後の花筒となる。普通結実しない。春に若葉をゆで、浸し物、あえ物などにして食べる
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★巻12「須磨の巻」
ひたすら世になくなりなむは言はむ方なくて、やうやう忘れ草も生ひやすらん、聞くほどは近けれど、いつまでと限りある御別れにもあらで、おぼすに尽きせずなむ。
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★巻49「宿木の巻」
さて中中みな荒らしはて、忘れ草生ふして後なん、この右のおとゞも渡り住み宮たちなども方方ものし給へば、むかしに返たるやうにはべめる
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★巻51「浮舟の巻」
親もしばしこそ嘆きまどひ給はめ、あまたの子どもあつかひて、おのづから忘れ草摘みてん、ありながらもてそこなひ、人笑へなるさまにてさすらへむは、まさる物思ひなるべし、など思ひなる。
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by hime-teru | 2006-07-30 23:56 | 源氏物語(巻41~巻50) | Trackback | Comments(0)