ブログトップ | ログイン

【端午の節供】 巻14澪標・巻25蛍 『菖蒲 (ショウブ)』 

            ★… 【 端午の節供 】 …★ 巻14…澪標  巻25…蛍の巻  『菖蒲 (ショウブ)』 
                       2005.06 撮影
物語の中に、あやめ(菖蒲)詠んだ歌が5首出て来ます。
サトイモ科の多年草。5月5日の端午の節供を別名菖蒲の節供というように、5月節供に集中している。独特の香気からショウブには邪気を払う効果があると考えられ、病気にならないよう矢羽形に切って髪に挿したり鉢巻のように頭に結んだり腰に巻いたりして祝う。。葉は剣のように細く長く名は「尚武」に掛けて武士の生き様を表している。漢名の「菖蒲」を音読みしたもの。沼、川などの水辺に群生。初夏にうす茶色の花を咲かせる。花は咲きかたが変わっていて葉っぱの途中に花穂をつける。端午の節句(5月5日)の日に 菖蒲の葉をお風呂に入れ菖蒲湯として健康を保てると言われている。
ここでは花菖蒲をアップ致します。写真は昨年の6月に撮影したものですものです
【端午の節供】 巻14澪標・巻25蛍 『菖蒲 (ショウブ)』 _e0039703_22491018.jpg

★巻14【澪標の巻】
政敵・右大臣家に負けた光源氏は地位を捨てて須磨へ、須磨で嵐と大津波に襲われて死にかけた時、夢のお告げで明石の地へと避難する。そこで美女・明石の君と出会い口説き落として結婚するが、藤壺と光源氏の子「冷泉」が帝になり光源氏の地位が上がり都に戻る。そこに光源氏の赤ちゃんを無事出産の便りが届いた時の源氏の贈歌の中にアヤメ(菖蒲)が出て来ます。
海松や時ぞともなき蔭にゐて何のあやめもいかにわくらむ …… 源氏(意)人知れず日数を数え、どうしているか!といとしくお思いやり「五月五日が五十日に当たるだろう」飛んで行きたい気持ちです。明石君宛、姫君( 源氏の娘)のお祝いと心遣いの歌である。(あやめは五月五日でいかは五十日)
【端午の節供】 巻14澪標・巻25蛍 『菖蒲 (ショウブ)』 _e0039703_22531686.jpg

★巻25【蛍の巻】
五月五日端午の節句に源氏玉鬘を訪問)兵部卿宮を、誉めたりけなしたりしながら前には宮を近づけるようなことを言い、今は危険な人だという。 
※そこへ宮より御文あり。
今日さへや引く人もなき身隠れにおふる菖蒲の根のみ泣かれむ … 蛍兵部卿宮
(意)今日でさえ根を引き抜く人もない。水の中に身を隠して生えている菖蒲のように誰も相手にしない私は声を上げて泣くしかないのでしょうか?
と。長い菖蒲の根にその手紙が結びつけてありました。
あらはれていとど浅くも見ゆるかな菖蒲もわかず泣かれけるかな …… 玉鬘
(意)水に隠れていた根を表に出してみると本当に浅いと分かりました。わけもなく泣かれるとおっしゃるあなたのお気持ちはお年に似合わないことと、菖蒲、根、泣くの語句を受けて返す。
宮は風流好みの御心から、もう少し筆跡に味があったなら……と少し物足りなくご覧になったというくだりに菖蒲が出て来ます。
【端午の節供】 巻14澪標・巻25蛍 『菖蒲 (ショウブ)』 _e0039703_22591230.jpg

※源氏は花散里のもとに。
その駒もすさめぬ草と名に立てる汀の菖蒲今日や引きつる …… 花散里
(意)馬も食べない草として有名な水際の菖蒲のようなわたしを今日は節句なので引き立てて下さったのでしょうか?とおっとりと申し上げなさる。
鳰鳥に影をならぶる若駒はいつか菖蒲に引き別るべき …… 源氏
(意)鳰鳥のようにいつも一緒にいる若駒の私はいつ菖蒲のあなたに別れたりしましょうか?  遠慮のないお二人の歌もある。
【端午の節供】 巻14澪標・巻25蛍 『菖蒲 (ショウブ)』 _e0039703_234319.jpg

by hime-teru | 2006-05-05 23:08 | 源氏物語花考察(ゆかりの地) | Trackback | Comments(0)