ブログトップ | ログイン

帚木の巻 (3) なでしこ、とこなつ

                       ★… 【帚木の巻】 (3) 文中の花 (なでしこ、とこなつ) …★
【撫子】
帚木の巻 (3) なでしこ、とこなつ_e0039703_22505250.jpg

帚木の巻は、長雨の晴れ間なき頃、物忌みで宮中にこもっている所に粋人達が集まって女性談義をしている場面である。その中で頭の中将が自らの体験を披露する。女性(添い通せない儚い女性との歌のやりとりの中に幼子を、なでしこ、常夏に置き換えて詠んでいる歌が3首ある。
帚木の巻 (3) なでしこ、とこなつ_e0039703_2252284.jpg

とこなつは瞿麦(なでしこ)の1名にて夏をむねと咲くものなれば常夏という。
帚木の巻 (3) なでしこ、とこなつ_e0039703_22542048.jpg

★やまがつのかきほあるともをりをりにあはれはかけよなでしこの露  女
(たとえ山家の垣根は荒れ果てても、そこに咲き出た撫子の花(女の子)には時折情けをかけて下さいまし)
★さきまじる色はいずれとわかねどもなお常夏(とこなつ)にしくものぞなき  頭中将
(庭に咲花の色はどれも美しいが、やはり常夏の花(あなた)にまさるものはない)
★うちはらふ袖も露けき常夏(とこなつ)にあらし吹きそふ秋もきにけり  女
(塵を払う袖も涙の露で湿りがちな私の身に、いっそう辛い嵐まで吹き添ってくる秋となってしまいました)
by hime-teru | 2005-11-07 23:00 | 源氏物語花考察(ゆかりの地) | Trackback | Comments(0)