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【源氏物語巻名の花】 巻49  『宿木の巻』 やどりぎ

              ★… 【源氏物語巻名の花】 巻49 『 宿木の巻 』 やどりぎ …★
                       撮影はH20年、秋・京都宇治にて
文中★「宿り木と思ひ出でずは木のもとの 旅寝もいかにさびしからまし」
意)宿木の昔泊まった家を思い出さなかったら木の下の旅寝もどんなにか寂しかったことでしょう。
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〓〔宿り木〕〓
寄生木、ヤドリギ科の常緑小低木。ホヤ(寄生)トビヅタ(飛蔦)ともいう。ケヤキエノキ、サクラ、ミズナラその他の落葉広葉樹の樹上に寄生することから宿木・ヤドリギの名がある。よく枝分れして径40~60センチの球形。枝は緑色で二又から三又状に多数分枝し、関節があり乾くとばらばらになる。
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革質で厚く濃緑色で光沢がなく雌雄異株。2~3月、枝先の葉の間に淡黄色の小花を通常3個ずつ頂生して開く。果肉は粘りが強く鳥類によって他樹に運ばれ粘着して発芽する。北海道から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。
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落葉した木に着生し常緑を保つヤドリギは、古代の人々にとって驚きであったとみえ、ヨーロッパ各国でセイヨウヤドリギの土着信仰が生じ、儀式に使われた。古代ケルト人のドルイド教では年初の月齢6日の夜、ヨーロッパナラに着生したセイヨウヤドリギを切り落とす神事があり、北欧では冬至の火祭りに光の神バルデルの人形とセイヨウヤドリギを火のなかに投げ光の新生を願った。
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常緑のヤドリギを春の女神や光の精の象徴として室内に飾る風習はクリスマスと結び付き現代に残る。 日本でもヤドリギは、常緑信仰の対象とされていた。大伴家持『万葉集』巻18で、宴(うたげ)の席で詠んでいる。ほよはヤドリギの古名で、髪に挿し長寿を祈る習俗があったことがわかる。
(↓桜の木に絡む宿り木、養分を吸い取られて、桜の木は大丈夫でしょうか?吉野では、やむを得ず、桜を守るため、宿り木の枝を落としているようです。宇治の桜もいつまでも綺麗に咲いてくれるよう願うばかりです)
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〓簡単に物語〓
帝(今上帝)は、最愛の娘「女二の宮」の将来を、薫に託そうと考えています。父朱雀帝が娘の女三の宮を源氏の降嫁させたように・・・。しかし、薫は気がすすみません。一方、夕霧は娘の六の君の婿を匂宮に決め、中宮の口添えもあり匂宮はしぶしぶ承知します。(承知せざるを得ない状況なのでした)
中の君の嘆きは深く今更ながら父の遺戒に背いて京に出てきたことを悔やみます。亡き姉君が決して宇治から出ようとしなかった生き方を思う毎日でしたが、既に中の君は、懐妊していたのです。

しぶしぶ夕霧の婿となった匂宮ですが六の君と会ってみると姿態はたいそう美しく、髪のさがりや頭の恰好などは、人より格別にすぐれて素晴らしく、色艶もつやつやとして堂々とした気品のある顔、目もとも美しく可愛らしい。何から何まで揃っていて器量のよい人なのである。匂宮は浮気な御性質ゆえ、まんざらでもありません。中の君の事を忘れているわけではないが・・・、次第に夜離れを重ねるようになり、中の君の嘆きは日に日に深まるばかりです。

思い余った中の君は、薫に手紙を出し、宇治へ連れていって欲しいと頼みます。未練がましく未だに大君を慕う薫の方は、中の君に大君の面影を重ね次第に心惹かれていきます。中の君と話ながら募る思いを抑えかね、その袖をとらえて我が心を訴えるのでした。そこへ帰ってきた匂宮は、中の君の衣に薫の芳香が移っていることを怪しみ責めますが、彼女は何事もなかったように匂宮をもてなします。
薫は、大君の供養に宇治の邸をなおし、大君の人形を作りたいと中の君に願いでます。薫の恋慕に悩むようになっていた中の君は、彼の接近を避けるべく異母妹に亡き大君によく似た人がいると「浮舟」の存在を告げます。ここで「浮舟」の登場です。

薫は宇治に出向き、浮舟の事を弁の尼に尋ねます。ここで、また弁の尼が登場真相を語らせます。早速、薫は弁の尼に浮舟への仲介を頼み込みます。

翌年二月、中の君が男児を出産したため匂宮の妻として誰からも重んじられるようになります。同じ頃、女二の宮と結婚した薫は、帝の婿として世人からねたみを買うほど羨望されますが・・・、当の本人の胸中は憂うつです。大君を思うあまり宇治の邸の造営に熱心なのです。薫は宇治で、偶然初瀬詣でからの帰りの浮舟を垣間見ます。息を呑み、薫が探し求めていた大君の面影を宿す形代(身代わり)そのものに驚きます。

作者は薫が中の君への横恋慕から危うい三角関係に陥ろうとするところで突然「浮舟」という女性を登場させてくるのです。「浮舟」は「八の宮」の娘で、大君・中の君とは異母妹の関係、八の宮は身分の低い母ゆえ宮家の名誉を考えてか彼女を認知しませんでした。宇治の八の宮邸を追われた浮舟母子は地方暮らしをしていたのです。

姉の大君が自分に向けられた薫の愛を妹の中の君に向けようとした同じことを、今度は中の君が、薫の横恋慕を避けようと「浮舟」に向け、彼女の運命をも変えてしまうのです。いかなる因果か?なんとも皮肉な物語なのです。

この巻には、菊・朝顔・女郎花・忘れ草(甘草)など出て参ります。
参考までに2006-12-06 【宿木の巻】
2006-07-30 【忘れ草】
アップ済みですのでご覧下さい。
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by hime-teru | 2009-05-19 23:45 | 源氏物語(巻41~巻50) | Trackback | Comments(0)