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【源氏物語巻名の花】 巻43 『紅梅』  紅梅・こうばい

      ★… 【源氏物語巻名の花】 巻43 『 紅梅の巻 』  紅梅・こうばい …★     
◆この巻は「匂宮と紅梅大納言家の物語」
紅梅大納言は按察使大納言家、柏木(かしわぎ)の衛門督弟。子供のころから頭角を現わしていて、月日とともに地位や権力もできて世間の信望を集めていました。
「匂宮」から「紅梅」「竹河」の三巻は、それ以降のいわゆる「宇治十帖」に橋渡しをする「つなぎの物語」です。
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第二章 匂宮に和歌を贈る場面
★文中)東のつまに、軒近き紅梅の、いとおもしろく匂ひたるを見たまひて「 御前の花、心ばへありて見ゆめり」兵部卿宮、内裏におはすなり。一枝折りて参れ。
☆意)東の端に軒に近い紅梅が、たいそう美しく咲き匂っているのを御覧になって「お庭先の梅が、風情あるように見える」兵部卿宮は、宮中にいらっしゃるそうだ。一枝折って差し上げよ。
折が折とて堪えることができなかったのか、花を折らせて、急いで参上させなさる。
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★文中) 「心ありて風の匂はす園の梅にまづ 鴬の訪はずやあるべき」 …大納言の詠歌。
☆意)「考えがあって風が匂わす園の梅に さっそく鴬が来ないことがありましょうか」
「梅」は大納言の中の君、「鴬」は匂宮。二人の縁組を望む歌である。
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★文中) 「園に匂へる紅の色に取られて、香なむ、白き梅には劣れるといふめるを、いとかし
こく、とり並べても咲きけるかな」
☆意)「色はむろん紅梅がはなやかでよいが、香は白梅に劣るとされているのだが、これは両方とも備わっているね」 とおっしゃって、お心をとめていらっしゃる花なので効があってご賞美なさる。
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★文中)匂宮の大納言の贈歌への返歌。
「 花の香に誘はれぬべき身なりせば風のたよりを過ぐさましやは
☆意)「花の香に誘われそうな身であったら風の便りをそのまま黙っていましょうか」
★文中)大納言から匂宮への贈歌。
「 本つ香の匂へる君が袖触れば花もえならぬ名をや散らさむ
☆意)「もともとの香りが匂っていらっしゃるあなたが袖を振ると 花も素晴らしい評判を得ることでしょう
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★文中)匂宮の返歌「 花の香を匂はす宿に訪めゆかば色にめづとや人の咎めむ
☆意)「花の香を匂わしていらっしゃる宿に訪ねていったら好色な人だと人が咎めるのではないでしょうか」☆紅梅大納言の名前が巻名になっています。
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★文中)梅の花めでたまふ君なれば、あなたのつまの紅梅、いと盛りに見えしを、ただならで、折りてたてまつれたりしなり。
☆意)梅の花がお好きな方だから、あちらの座敷の前の紅梅が盛りで、あまりきれいだったから折って差し上げたのです。
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★文中)同じ花の名なれど 梅は生ひ出でけむ根こそあはれなれ。この宮などのめでたまふ、さることぞかし
☆意)同じ花だがどんな根があって高い香の花は咲くのかと思うと梅にも敬意を表したくなるからね。梅は匂宮(におうみや)がお好みになる花にできていますね。
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簡単に物語のあらすじ
この巻の中心人物、紅梅大納言(按察大納言)は、故致仕の大臣の次男で柏木の弟です。
・紅梅大納言の邸には三人の美しい姫君がいますが、うち一人は蛍宮の遺児で、宮の御方と呼ばれています。蛍宮の北の方だった真木柱と紅梅は再婚したのでした。実の娘同様に世話をしていますが、控えめな姫は継父の興味の視線を避けたく思い将来にも悲観的です。長女を春宮に入内させた紅梅は、中の君を匂宮にと思って紅梅に歌を添えて匂宮に贈ったりもしますが・・・。匂宮自身の関心は、連れ子の宮の御方にあるのでした。宮の御方自身もわが境遇から考えて、結婚自体をあきらめており匂宮からの熱心な求婚にも応じようとしません。母の真木柱も良縁と思っているが、匂宮の好色の噂(宇治の八宮の姫君(=大君・中の君)にも求愛すると聞き躊躇し不安に思っています。
by hime-teru | 2008-04-15 00:26 | 源氏物語(巻41~巻50) | Trackback | Comments(0)