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【馬の鈴草・ウマノスズクサ】

                ★… 【 馬の鈴草 】 ウマノスズクサ …★
                    撮影はH19,4,26我が家にて
ウマノスズクサ科の多年草、ツル植物。本州、四国、九州。地下茎を持ち草地や小川の岸、土手に育つ。最近はあまり見かけない植物のようです。
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私は3年前に家族旅行を致しました時、千葉のホテルの山野草の出店で”「ウマノスズクサ”」という可愛らしい名前を見つけ、2000円という大金を払い買い求めました。近くで植木屋を営んでいるという店のおばあさんが、”珍しい山野草”でここだけにしかないからと言われ花も確認できないまま・・・つい・・・、どんな花が咲くのか?興味をそそり買ってしまいました。3年目にしてようやく奇妙な花が咲き、想像していた花とはあまりにも違いすぎたので驚いています。
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ウマノスズクサの花はなぜこんな奇妙な形をしているのでしょう!!!。不思議な形ですね。花弁はなく萼がラッパ状の筒をつくり、先は片側が大きく膨らみ斜めに口を開けて金管楽器のチューバのようです。この部分を舷部(げんぶ)と呼びます。筒の部分は細く曲っています。内側には奥を向いて毛が生えています。マムシグサの雄株にあるような昆虫の脱出口は見当たりません。どうやら内部には小さな昆虫しか入れず一度入ると脱出は困難のようです。両性花であり中で昆虫が動き回ることで受粉が促されるのかもしれません。
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我が家で今年5輪の花が咲きましたが、受粉してくれる昆虫の訪問がなかったのでしょう。果実は出来ませんでした。果実が出来るのを心待ちにしていたのですが・・(ノ_・、)
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花には巧みに昆虫を中に誘い込んで受粉をさせる特殊な仕組みがある。ウマノスズクサの花は雌性先熟で糞や腐肉に似た匂いで小型のハエをおびき寄せ花筒の奥の球形の部屋へと誘導する。部屋には柱頭がありハエは後戻りができずに閉じ込められる。その後、雄しべが花粉を出すと、部屋から脱出できるようになり、花粉を付けたハエは花から出ていく。ラッパのように開いた口は細い管のような花筒を通じて毬のように丸くふくらんだ部屋に通じている。
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和名はこの球状の部分を馬の首に掛ける鈴に似ていることから名付けられたようです。花筒の開口部は上方に開いていることが多く雨が降ったら水が降り込みそうです。屈曲した花筒の奥に雌しべと雄しべがあり、訪花昆虫も限られ「ジャコウアゲハ」の食草だそうです。冬期には地上部は枯れます。
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※参考文
ジャコウアゲハ(一種の香気を持つことからジャコウの名が付いている)は幼虫の食草であるウマノスズクサのはえている草原やその周辺に限定される。体内に毒を持っていて鳥などに食べられるのを防いでいるのです。そのせいか、ほかのアゲハチョウに比べると、あまり羽ばたかずにゆったりと飛ぶ。ジャコウアゲハの幼虫は毒成分のあるウマノスズクサを食べるのですが、チョウになっても食べた毒を体内に持っていて、鳥などに襲われるのを防いでいます。自分が毒チョウであることをひけらかすために、ゆっくり飛ぶ習性があるといわれています。ジャコウアゲハは派手な体色で自らを毒虫として鳥などの補食者に警告をしています。
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※毒蝶といわれていますが・・・・。
一般に毒蝶というと“翅の粉(鱗粉)が毒で触ったり吸い込んだりしてはいけない”又は“幼虫に触れるとかぶれる”等と想像する方が意外と多くて驚かされる。この場合幼虫がウマノスズクサの毒素を摂取することで、主な外敵の鳥がこの蝶または幼虫を餌にすると、お腹を壊すことを経験上知っていて攻撃しない。という程度の毒で、人体に直接悪影響を直接及ぼすことはないとのこと。
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漢方で根・果実を鎮痛剤、虫や蛇の解毒剤、去痰剤に利用されていた記録があります。しかし、毒性が高く使われなくなってきているようです。薬効成分はアリストロキア酸と呼ばれています。おそらくアルカロイドの1種で、植物が昆虫などに食べられないよう草内に蓄えている物質と考えられます。
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                 〓☆☆☆ 発見 ☆☆☆〓
この植物のお陰でジャコウアゲハの生態を知ることが出来嬉しく思います。ゆったりと飛ぶ黒いアゲハに似た蝶を見つけたら・・・、そこに「ウマノスズクサ」があることを・・・。
Commented by 蘭翁 at 2007-06-24 21:58 x
お久しぶりです。ウマノスズクサ、高岡の小矢部川、国条橋付近はかつてウマノスズクサの屋敷でした。ジャコウアゲハもたくさん風に揺られルように舞っていました。河川敷の草焼き、除草が完璧にされるようになり、すっかり姿が少なくなりました。昭和50年代の採集標本を今も大切にしています。ギフチョウの食餌植物であるヒメカンアオイもウマノスズクサ科ですよ。
Commented by hime-teru at 2007-06-25 11:26
蘭翁さま、お久しぶりで御座います。さすが植物・昆虫の専門家、お詳しいですね。情報ありがとうございます。これからも、いろいろとお教えくださいませね。

「ギフチョウ」の名前と姿は早春の桜が咲く頃、新聞やテレビのニュースでお目見え致しますが、私はまだ本物を見たことがありません。高岡でジャコウアゲハが見られたそうですが、悲しいかな、小さい頃、見ているかも知れませんが詳しい名前まで調べる熱心な意欲がなかったからでしょう。今にして思えばとても残念に思えます。

「ギフチョウ」は日本特産種で「春の女神」と言われるほどの美しい蝶。
いつかどこかで会えますよう期待しながら・・・。

ちなみに我が家に”姫カンアオイ”だと思いますが、葉の下に沢山の控えめな花を咲かせます。しかし、「ギフチョウ」は来てくれません。アゲハはクチナシやユズがありますので昨今優雅に庭で舞を舞ってくれます。一時、時間を忘れて見とれる至福の時間があります。

「コメント」にて、勉強させていただいております。ありがとうございます。
Commented by 蘭翁 at 2007-06-25 18:15 x
そんな、とても専門家ではありませんが・・・・
ギフチョウ、春の女神です!「香子様のご実家」のすぐ近く砺波芹谷の千光寺の裏あたりの山道では今もたくさん生息しています。GWごろでもチラホラまだ飛んでいますので来年をお楽しみに!食餌植物のカンアオイの仲間は地上近くで花を咲かせ結実しますが、ポトッとすぐ下にしか種を落とせないのです。ですからカンアオイの仲間は生育域をなかなか増やせません。したがって、開発で食草がやられると結果としてギフチョウはどうにもならないのです。地元ではヒメカンアオイを人の手で増やす活動もされてはいるのですが・・・・
それから、高岡のジャコウアゲハはまだ全滅はしていませんよ・・・・(頑張れと祈っています)
Commented by hime-teru at 2007-06-27 10:29
蘭翁さま。情報ありがとうございます。
ギフチョウは明治16年に岐阜県益田郡金山町祖師野の「名和昆虫博物館の初代館長」である名和靖氏によって採取されたことから『ギフチョウ』の和名がつけられたようですね。
分布は本州の秋田県南部から山口県中部にいたる26都府県で東京都は絶滅。こちらでは見かけない理由がわかりました。しかし、関東地方では唯一、神奈川県津久井郡藤野町で生息しているようですが、個体数の減少から神奈川県指定天然記念物になっているそうです。
それほど、関東では殆ど見られない貴重なギフチョウが砺波地方で普通に見られるのですね。まだまだ自然が破壊されず残されていることに安らぎを覚えます。来年は蝶の舞う季節に帰省できたらと心から思います。
富山に生まれて富山のことを何も知らない私は改めて故郷の良さをしみじみ感じます。素晴らしい故郷を持って幸せです。

ウマノスズクサは東京大学の構内でも蝶の食草として保護を受けているようですので、「ジャコウアゲハ」は関東でも見る機会があるかも知れません。

by hime-teru | 2007-06-24 16:20 | 【あ】行の花 | Trackback | Comments(4)