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【 源氏物語文中の花 】  巻21 『少女の巻』  呉竹

         ★… 【 源氏物語文中の花 】 巻21 『少女の巻』 『六条院の夏の町』 (その4) 呉竹 …★
                       撮影は京都・嵯峨野 埼玉・秩父にて
〔原文〕
その夏の町の『北の東』は、涼しげなる泉ありて夏の蔭によれり。前近き前栽、呉竹、下風涼しかるべく木高き森のやうなる木ども木深くおもしろく山里めきて・・・↓嵯峨野の竹林
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【呉竹】
呉くれから渡来した竹の意、淡竹(はちく)の異称、又(呉竹)=唐竹ともいう。『源氏物語』でタケと表記されているのは、多くはマダケと思われますが、なよたけ、メダケ、くれたけ、ハチクとも竹の仲間である。
竹は『竹河の巻』で再び詳しくアップの予定でいます。
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竹(タケ)ほど、古代から日本人の生活と密接にかかわりあってきた植物は他には見られないでしょう。古くはコノハナノサクヤビメが分娩の時へその緒を切るのに竹製の“へら”を使ったという伝説や、竹から生まれたかぐや姫の「竹取物語」は何方もご存じのことでしょう。
又、正倉院に750年ごろにハチクでつくられた笙(しょう)や尺八(しゃくはち)筆などが保存されています。
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タケの材は木とは違う特徴があります。例えば桿(かん)が中空であり、割りやすく弾力性に飛んでいて伸縮が少ない。このため昔から建築用材、家庭用品、楽器、玩具、茶道、華道、武器(弓と弓矢など)、食用(筍)などに利用されてきました。
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家庭用品としては簾(すだれ)・扇子(せんす)・笊(ざる)・籠(がご)等。茶道では茶筅(ちゃせん)・茶杓(ちゃしゃく)があり茶には直径2㎝程度のハチクが用いられます。楽器では尺八・篠笛(しのぶえ)・竜笛(りゅうてき)等。玩具では竹とんぼ・竹馬などがあります。
とくに尺八は「聖徳太子」が愛用したといわれています。
竹とんぼや竹馬は、昔遊んだ最も一般的な玩具だと思います。このように、私たちの身のまわりを見渡してみましても、そこかしこに竹製品を見ることができます。最近では竹炭が水質浄化などに人気を集めているようです。
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竹の皮も生活用品として重要でした。最も基本的な使用法は”食物を包む”のに用いた。昭和生まれであれば、たいがいの人はご存じでしょう。ほどよく水分が保たれて乾燥しない通風性があり腐敗を防ぐ殺菌作用がありますので、”おむすび”など包んで遠足に行きました。暮らしの知恵物です。

春に竹の子が生えるころ葉が黄色くなります。『竹秋』と言い春の季語です。 
   ↓ 秩父にて5月に撮影。
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紅葉の頃に嵯峨野にて撮影した竹は澄んだ秋空と真っ赤な紅葉との絶妙なコントラスト、鮮やかな緑の装いが美しいです。
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竹は成長が早く冬でも緑であるため生命力の強さを愛でて正月の飾りの一つに用いられますが、京都のお寺のお庭には、とりどりの素晴らしい竹垣が風情を添えています。
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by hime-teru | 2007-06-16 22:53 | 源氏物語(巻21~巻30) | Trackback | Comments(0)