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【源氏物語巻名の花】 巻7  紅葉賀(もみじのが)①  紅葉

           ★… 【 源氏物語巻名の花 】 巻7   紅葉賀(もみじのが)①  紅葉 …★
                       H18,11,22京都・嵯峨野の風景と紅葉にて 
巻名の「紅葉賀」は、十月紅葉の季節に、桐壺帝が朱雀院に行幸し、紅葉のもとで御賀を催したことによります。しかし、この巻には「紅葉賀」の言葉は出て参りません。 
【紅葉】 …  紅葉植物の総称
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源氏物語は紅葉の名所として名高い「京都」が舞台になっているだけに、「紅葉という言葉」がたくさん出てきます。記述の「紅葉」はタカオモミジ(イロハモミジ)と思われます。歌と文章に出てくる回数は50回にも及ぶようですが、私は43箇所しかチエック出来ませんでした。これから、各巻ごとに「紅葉」の記述を拾いながら、京都のお寺の紅葉の風景をアップして行こうと思います。しばらくの間、紅葉とお付き合いくださいませ。
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◆『 紅葉賀の物語光源氏の十八歳冬十月から十九歳秋七月までの宰相兼中将時代の物語。紅葉賀の巻は母の思慕か憧れか!藤壺の宮との秘め事を辛い宿世と思い定めて互いに尽きせぬままに儚い縁の書き出しから始まっている。』
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※桐壺帝が朱雀院へ行幸(帝がお出かけ)することになり、御前で催される試楽(予行練習)で幕を開けます。帝の外出には臣下のお供がたくさん付いて参ります。現代の天皇がお出かけにもSPがたくさんつき、歓迎のイベントが催されますのと同じ事でしょう。
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巻7【紅葉賀・もみじが】 文中より↓下記①②③
※①試みの日かく尽くしつれば、紅葉の陰やさうさうしくと思へど、見せたてまつらんの心にて、よふいせさせつる」など聞こえたまふ。
 ☆意) 試楽の日に、こんなに十分に催してしまったので、紅葉の木陰は、寂しかろうかと思うが、お見せ申したいとの気持ちで、念入りに催させた」など仰せになった。
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 ※②小高き紅葉の陰に、四十人の垣代、言ひ知らず吹き立てたるものの音どもにあひたる松風、まことの深山をろしと聞こえて吹まよひ、色色に散りかふ木の葉の中より、青がひ波のかかやき出でたるさま、いとおそろしきまで見ゆ。
 ☆意) 木高い紅葉の下に、四十人の垣代(かいしろ=奏楽する楽人)何とも言い表しようもなく見事に吹き鳴らしている笛の音に響き合っている松風、本当の深山颪と聞こえて吹き乱れ、色とりどりに散り乱れる木の葉の中から青海波の光り輝いて舞い出る様子、は、なんとも恐ろしいほどの美しさでした。
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 ※③かざしの紅葉いたう散りすぎて、顔のにほひにけおされたる心ちすれば、御前なる菊を折て左大将さしかへ給。
 ☆意) 插頭の(甲の飾りにつけた紅葉)ほとんど散って薄くなって、源氏の顔の照り映える美しさに圧倒された感じがするので、御前に咲いている菊を折って、左大将が差し替えなさる。
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◆十月十日、朱雀院に行幸して紅葉賀を催します。源氏は、ここでも妙技を尽くします
その夜、源氏は正三位に加階しました。異例の昇進です。
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試楽での源氏の姿は見ている人が感涙にむせぶほどの美しさで賞賛を一身に受けるのです。京で1,2位を争う若手ホープの二人(光源氏と頭中将)が「青海波の舞」を舞うのを聞いて注目を浴びないはずはありませんね。しかし、これを快く思わないのが弘徽殿女御です。折から紅葉の美しい「神無月」上皇の長寿を祝う紅葉の賀宴。夕暮れも近く散り乱れる木の葉の間から現れる光君を見て「まぁ、あまりにも美しすぎて神に魅入らてしまいそうですこと」なんて嫉妬しながら不吉なことを言わせています。
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(※当時、後宮の女たちは他所での催しには参加できなかったのです。帝は藤壺が公の「盛儀」を御覧になれないのを残念に思って、試楽を宮中でおさせになったのです)
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※1…史実によると朱雀院は三条の南、朱雀の西にあり、嵯峨天皇以後、歴代の上皇御所であったが、天暦四年(950)焼失。再び御造営になり、のち朱雀帝がまた上皇御所とされた。
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※2…「」は参賀ともいい長寿を祝う儀。普通には数え年、四十歳・五十歳・六十歳などを祝う賀をいう。この物語では、「一院」が在世していたが明記はない。
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※青海波
舞楽の曲名。唐楽。二人舞で鳥甲(とりかぶと)をかぶり、袍(ほう)を着け、波の寄せ返すさまを袖の振りであらわす優美で華やかな舞。
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      ↑天竜寺境内 ・ ↓桂川(京都府を流れる淀川の大支流)
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by hime-teru | 2006-12-20 00:25 | 源氏物語(巻1~巻10) | Trackback | Comments(0)