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★…【源氏物語の文中の花】 巻42『匂宮』 巻49『宿木』 菊・きく〓(NO-3)〓 『匂宮・宿木』

              ★…【 源氏物語の文中の花 】 巻42『匂宮』 巻49『宿木』  菊・きく …★
 〓(NO-3)〓
『匂宮・宿木』 の巻の文中 
【幻の巻の(雲隠・くもがくれ)→(題名のみの巻)源氏の出家と死を暗示し、ここで光源氏を中心とした本編)が終わり、巻42【匂宮】から源氏の子孫や縁者の話(薫と匂宮の物語)が展開されていきます。後の物語を「宇治十帖」と称します。】
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7)◆巻42‥【匂宮】
①老を忘るゝ菊に、おとろへ行藤袴、物げなきわれもかうなどは、いとすさまじき霜枯れのころをひまでおぼし捨てず。
意)老を忘れる菊に、衰えゆく藤袴、何の取柄もないわれもこうなどは、とても見るに堪えない霜枯れのころまで愛し続けになるような風流をしておいでになるのであった。(薫君)
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8)◆巻49‥【宿木】 (帝が女二の宮を薫に降嫁させようと考える巻)
①御前の菊移ろひはてて盛りなるころ、空のけしきのあはれにうちしぐるるにも、まづこの御方に渡らせ給て、むかしの事など聞えさせ給ふに。
 意)お庭先の菊がすっかり変色して盛んなころ、空模様が胸打つように、ちょっと時雨するにつけても、まずこの御方にお渡りあそばして、故人のことなどをお話し申し上げあそばすと・・・
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◎第四段 帝、女二の宮や薫と碁を打つ場面で三番のうち二番を帝がお負けになった時。★「 ねたきわざかな」とて、「 まづ、今日は、この花一枝許す。おもしろき枝を折りて参りたまへり 」
 意)「くやしいことだ。まあ今日はこの庭の菊一枝を許すと薫君に」美しい『この花』とは『御前の菊移ろひはてて』の文章から「菊の一枝」だと思います。
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②霜にあへず枯れにし園のなれど残りの色はあせずもある哉とのたまはす。
 意)霜に堪えかねて枯れてしまった園の菊であるが残りの色は褪せていない
な、 と仰せになる。
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のまだよく移ろひはてで、わざとつくろひたてさせ給へるは、なかなかをそきに、いかなる。一本にかあらむ。
 意)が、まだすっかり変色もしないで、特につくろわせなさっているのは、かえって遅いのに、どのような一本であろうか。
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◎(菊の花は主に白菊が愛好されていたようですが、紅紫色に変色したものも賞美されていたようです。「移ろひ果てて盛り」というのは変色した盛りの花のようです。(女二の宮と薫の結婚が日程に上ってきた場面の一コマ)
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【物語】
菊(キク)の名が20箇所ほど出てきます。和名のキクは漢字の菊の音読みで、菊の字は鞠とも書かれ鞠は窮と同じ意味で窮極または最終の意味だそうです。菊の花が年のいちばん終わりに咲くことからこの字が使われたといわれている。
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◎【菊】
キク科の宿根草日本に野生する菊は約20種、局部的に分布するものが多い。ハマギク、コハマギク、イソギク、シオギク、ノジギク、リュウノウギク、シマカンギク、アワコガネギク、イワインチンなどがある。平安時代はリュウノウギクのような小菊を愛でたと思われます。
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by hime-teru | 2006-11-27 22:54 | 源氏物語(巻41~巻50) | Trackback | Comments(0)