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【源氏物語文中の花】  巻21 少女の巻 (1)   浜木綿 (ハマユウ)

         ★… 【 源氏物語文中の花 】  巻21 少女の巻 (1)  浜木綿 (ハマユウ) …★
                            撮影はH18,6,22 我が家にて
源氏の君、二十五歳の夏、京に居づらくなった頃に慎ましい花散里が登場してきます。花散里は源氏の君にとって重要な人となって行きます。花散里の容貌はこれといって書かれていませんし、君が熱心になるという話も出て来ませんが、愚痴を言うこともなく自慢話をするでもなく、しんみりと昔の話ができる相手として花散里が語られています。以後、花散里は源氏の君の良きカウンセラー的存在になる。源氏は花散里に夕霧のお世話を依頼する場面に浜木綿が出て来ます。
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 「み熊野の浦の浜木綿百重なる心は思へどただにあはぬかも」 ……柿本人麿
意) 熊野の浦の浜木綿の葉が幾重にも重なっているように、幾重にも幾重にも百重にもあなたのことを思っていますが、直接には会えないことだ。を引用して・・
▼ 浜木綿ばかりの隔てさし隠しつつ、何くれともてなし紛らはしたまふめるもむべなりけり・・・・
源氏物語に浜木綿の名が登場するのはこの1カ所だけですが夕霧の心の中の表現として書かれています。
(器量はさほどすぐれていない、こののような方も父はお捨てにならなかったのだ。自分も気立ての良い柔和な方と愛し合いたいものだと。夕霧は源氏の君の息子だけあって観察が鋭い(^_^;。 花散里は気立てが良く源氏の君は安心して任せています。
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花散里は家事に長ずる女性として登場しますが、染色の方面では紫の上と肩を並べる実力の持ち主だったようです。
【浜木綿】  はまゆう
ヒガンバナ科の海浜生の多年草。植物学上の和名はハマオモト(浜万年青)偽茎は直立し高さ30~50センチ、葉は鱗茎状に重なり合い内部は白く木綿(白い幣)を思わせるのでハマユウの名がついた。花は7~9月、花茎の先に十数花集まって開き芳香がある。白色で花筒は長さ5~6センチ花被片は長さ7~9センチ。果実は球形で種子は大きく種皮が海綿質で海水に浮いて広がる。
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古代から目をひいたらしく柿本人麻呂が『万葉集』、『枕草子』は「草は」の中浜木綿が四番目に名を連ねる。
平安時代、大臣の大宴にはハマユウの葉で鳥料理を包んだようです。また、葉柄は乾かすと粗いが強い紐になるので台湾のヤミ族は石灰を入れた壺をハマユウの紐でぶら下げ、バタン島では葉をいぶして蚊遣に使ったようです。
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Commented by よしえ at 2006-06-28 23:09 x
 ハマユウの背丈はもう少し大きくて1メートルにはなる。おおぶりで清楚なシロバナは、朝から咲き始めて、夕刻には溶けるようにしぼんで消えてしまう。はかないものです。

 よしえ
Commented by hime-teru at 2006-07-05 08:53
よしえさん、コメント頂いていたのですね。すみません<(_ _)>。

ハマユウは仰るように花茎は1㍍程に達し花が咲きます。が、カンナや君子蘭のように葉の間から花の茎が出て来ません。偽茎(葉の高さ)は、しっかりと直立し30~50センチほどあり、葉の根元近くから花茎の芽が出て伸びて来るものですから・・・紛らわしい書き方をしてしました。m(_ _)m
by hime-teru | 2006-06-26 22:23 | 源氏物語(巻21~巻30) | Trackback | Comments(2)