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【源氏物語文中の花】 巻4 『空蝉の巻』 (特定できない木) 

★… 【源氏物語文中の花】 巻4  『空蝉の巻』  (特定できない木・蝉の抜け殻) …★
                           撮影は我が家にて
空蝉の身をかえてける木のもとになお人がらのなつかしきかな  ……  源氏
意)が脱皮し抜け殻だけを残して姿を変え飛んでいってしまったように、現身(うつしみ=現実)のあなたは衣だけを残していなくなってしまいました。いなくなったあとの木はそれでも気配を感じて懐かしく感じられ、同じように抜け殻の衣を抱きしめながらあなたを懐かしく思っています。

空蝉の羽根におく露の木隠れてしのびしのびにぬるるせでかな ……  空蝉
意)木の陰に隠れて置く空蝉の羽の露のように、私は人目を忍んではこらえきれずに泣いておりますので涙で袖がしっとり濡れております。

この巻の他に特定できない木(植物)が詠まれた和歌が19首?程、出て来ます。
”空蝉”夏の名残絵のように蝉の抜け殻が万両にしっかりと、しがみついていましたので撮影してみました。
【源氏物語文中の花】 巻4  『空蝉の巻』 (特定できない木) _e0039703_1410488.jpg

〓【簡単に物語】〓
「空蝉」は伊予の介の妻、源氏に言い寄られるが、その身分や立場ゆえに悩む。源氏は逃げられれば逃げられるほど空蝉への執着は深まり、せめてもの形見にと空蝉の残していった薄衣を持って帰ります。空蝉は思い諦めて下さったとホッとするものの、さすがに寂しくぼんやりと庭のやり水を眺めているのでした。身分の違い、夫ある身、という自己規則の強さ、慎み深い教養のために揺れる恋心を断ち切るのです。
性倫理の規制があった時代ではありませんでしたが、空蝉はあくまでも伊予の介の妻であろうとしていた女性です。これは紫式部の倫理観だと思います。

◆後に空蝉は夫の死後は尼となり、やがて二条院に引き取られます。
by hime-teru | 2005-12-12 14:16 | 源氏物語(巻1~巻10) | Trackback | Comments(0)