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帚木の巻 (2) 葎(むぐら)

                        ★… 【帚木の巻】 (2) 文中の花 (葎・むぐら) …★

葎とは、荒れ地や野原に茂る雑草の総称。
ヘクソカズラ(屁糞蔓)の花と実
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★『よにありと人のしられず、寂しく”あばれたらむむぐら”のかどに、おもいのほかに、ろうたげならん人のとじられたらんこそ、かぎりなくめずらしくはおぼえめ』
あばれたる「むぐら」とは蔓草の雑草と注釈に書いてある。零落を象徴する家の形体を客観的に表現してある。現代でも手入れの行き届かない家には蔓性の雑草が蔓延っている。
ヤブカラシ、カラスウリなど沢山あるが、この巻では葎の代表である植物の一つヘクソカズラ(屁糞蔓)を選びました。

なんて可哀相な名前のお花でしょう、こんなに可愛いお花なのに。ヤイトバナ(花の内側の茶色い部分がお灸の後にみえるから)サオトメバナとも言われているのに・・・。出来れば「サオトメバナ」とよんであげたい。アカネ科の蔓性多年草。日本全域の土手や藪などに生え木に絡まってどんどんのびる。茎は左巻きで三角形にとがった小さな葉、8~9月に多数の小花をつける。花は白、内側は紅紫色で1cmほどの小さな花である。果実は球形で黄褐色に熟する。
全草に悪臭があるのでこのような名前が付けられた。嫌われる匂いと言うが女郎花も変わらない。葉を揉んで匂いをかいでみたがそれ程でもなかった。しかし、きつい匂いの為この植物を食べる虫はほとんどいないそうである。 昔は実の汁を、しもやけやあかぎれに塗っていた。

☆「さうけふに 延(は)ひおほとれる屎葛絶ゆることなく 宮仕へせむ」 (高宮王)
万葉集の中にヘクソカズラの名前で登場している事を思えば、その歴史はかなり古い。それにしても万葉の貴族たちはどんな顔をして和歌を詠み上げていたのでしょうか?

この時期の茶花に使いますが、茶花では名前は言うまでもなく「サオトメバナ」であります。
by hime-teru | 2005-11-02 23:19 | 源氏物語花考察(ゆかりの地) | Trackback | Comments(0)